もとまち寄席 恋雅亭
公演記録    第354回
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 公演日時: 平成20年 2月10日(日) 午後6時30分開演
  出演者      演目
 笑福亭 右 喬  「看板のピン」
 桂  こごろう  「へっつい盗人」
 月亭  八 天  「星野屋」
 桂   文 喬  「研修医・山田一郎」
  中入
 桂   文 福  「ああ夫婦」
 笑福亭 福 笑  「宿屋ばばあ」(主任

   打出し 21時
     お囃子  林家和女、勝 正子
     手伝い  桂 三ノ助、まめだ、ぽんぽ娘

 平成 平成二十年。寒さが厳しい二月公演。
 寒さも吹っ飛ぶ前景気。前売券、ネット予約共、早くも完売。その後も多くのお問い合わせの中、当日を迎える。三連休の日曜日、そして南京町の春節祭とあって元町本通りにはいつも以上に多くの人が歩かれ当席の提灯と列を興味げにご覧になる。お客様が列を作られ開場を待たれる。木戸口では事前に準備された多くの折込まれたチラシ(今日は特に多い)を人海戦術で織り込み開場の準備。焦ってスピードアップ。五時前になって、小雨が・・・。定刻の五時半を十分早めて開場。いつもながら申し訳ない。列を作って待っておられたお客様がご入場され、席が次々と埋まっていく。当日のお客様の出足は絶好調で次々とご来場されるお客様で会場はどんどん埋まっていき椅子席は満席。開演前には立ち見客も出る大入満席となる。二番太鼓から定刻の六時半、祈が入って『如月公演』公演が開席。
 公演のトップバッターは、松喬一門から笑福亭右喬師。
平成4年入門で独特のキャラで演じる落語は爆笑物である。
 『石段』の出囃子乗って高座へ登場。「えー、ありがとうございます。今日は立ち見も出まして、トップバッターの笑福亭右喬でございます。一杯のお客様では緊張しますのでスッと下ります」と、いきなり右喬ワールド。そして、絶対受けない仕事の「結婚式の司会」での失敗談。そのお礼はすぐにギャンブルに、として始まった本題は『看板のピン』。この師を彷彿とする主人公が巻き起こすおなじみの噺を、トントンと演じた十五分の高座であった。

 二つ目は、南光一門から桂こごろう師。師匠の教育と自身の努力で達者な落語で定評がある師で『復興節』の出囃子で高座へ登場。
 「えー、続きまして、こごろうのほうでお付き合いを願いますが、えーこの中でこないだ(三十周年記念公演)の『兵庫区民寄席』へお越しになったお客様は? えー、実は何をやったか忘れまして・・・」と、客席に確認して「実は、今日は『へっつい盗人』を(場内からはOKを表す大きな拍手)・・・。えーそれでは・・・」。
 この噺、先月の『あみだ池』『無い物買い』同様、初代桂春団治師匠から現在まで続く大爆笑噺で
ある。その噺を発端からテンポよく、よどみなく演じ、ツボツボで場内から爆笑を誘う。
 へっついさんの下に縄を通す盛りがったクダリでお後と交代となった十七分の高座であった。

 三つ目は八方一門から月亭八天師。
各地の落語会や自身の落語会を積極的にこなしている努力家。地元兵庫の柳原の戎神社で定期的に『やなぎはらEBIS亭』も充実の内に回を重ねる。勿論、当席の常連でもある。
 今回も多くの常連さんが愛嬌タップリで爆発爆笑高座で、何が飛び出すかを期待の拍手の中、『おかめ』の出囃子で高座へ登場。
 「えー、男と女・・・」と、二号さんにまつわるマクラから始まる。「おてかけさん(西)」「おめかけさん(東)」と東西では呼び名が違います、やることは一緒ですが・・」。男女同権の現在であるが、この師匠にかかると実に抵抗無く、昔にタイムスリップする(芸の力)。
 そして、始まった本題は『星野屋』。この噺、東京では割りに演じられていた噺であるが、上方では珍しい噺で別名を『五両残し』。場面転換も多く、騙し騙されるやりとりのテンポの良さに会場から爆笑が続けさまに起こる。あっという間の二十二分の名演であった。

 そして、中トリは文枝一門から上方落語の爆笑男・桂文福師匠の予定でしたが『鞠と殿様』ではなく『本調子まつり』の出囃子。その出囃子で桂文喬師匠が登場。
 「えー、ちょっとプログラムトと順番が代わっているんですが、ちょっと病気をしまして、顔も赤いですが,お酒を飲んでる訳ではありません。夜の八時までに仕事を終えないかん。八時以降に緊張する場に出るのはいかんと、お医者さんから禁じられておりまして(場内大爆笑)・・・、文福さんに代わってもらいまして、あっ、言うときます八時になったらすぐ止めますから(場内再び大爆笑)」と、ステロイド剤をやってましてと、つかみのあいさつ。
途中で文福師匠の「だ、だ、だ、大丈夫」とのハンジョウも入って大爆笑の連続。
 そして始まったのは、「えー、今日は99%、事実談でして・・・」と、『研修医・山田一郎』。
以前、師匠が実際に経験したことを、やや誇張した爆笑創作落語である。緊急で担ぎ込まれた病院で出会った研修医との一命にかかわる関わり。
 二年後、研修期間を終了して再び遭遇。残念ながら技術(採血)は変わって変っていなかった。

 中入りカブリは、文枝一門から宴会男・桂文福師匠。
『月光仮面は誰でしょう』の口ずさめるような出囃子で登場。「えー、大入り満員でございまして、芸名を文福と申しまして、本名を渡瀬恒彦と申します」と、さっそく文福ワールドへ。
 お馴染みの小噺から、「相撲甚句」。艶笑小噺を並べた高座は題して『ああ夫婦』。
いつもながらサービス精神溢れる高座は、満足度130%。プラス30%は、初めてのお客様には、やや刺激的な点。充分、温まった高座をトリに繋ぐ、二十一分の熱演であった。

 そして如月公演のトリは笑福亭一門・上方落語界の重鎮・笑福亭福笑師匠にとっていただきます。
出番を待ちかねるように『佃くずし』の出囃子に乗って、勢い良く、高座へ登場すると、本日一番の拍手が会場から起こる。
 「ありがとうございます。後、もう一席で・・・、まあ、仰山入って頂きまして、立ち見まで出てるという、我々ごときありがとうございます」。そして、いつもの「寒い中、中東の・・、北朝鮮、年金問題、岐阜一区、ガソリン、ハンドボール、橋本知事、船場吉兆、毒入り餃子、寒い、犬吼える・・。そんなお忙しい中、ようこそお越しくださいました」と、福笑の世界へドップリ。
 「今日は元気で頑張っておられるお年寄りにエールを送る『宿屋ばばあ』。
と、言うお噺をと」平成十四年六月の286回公演からの再演となる創作落語である。随所に散りばめられたギャグ。これでもかと繰り出されるギャグ。「えー」とあきれるようなギャグ。思わず笑ってしまうギャグ。
 二十八分の高座であった。