第278回 公演の記録 吉村 高也 |
公演日時: 平成13年10月10日(水) 午後6時30分開演 出演者 演目 桂 雀 喜 「牛ほめ 」 林家 染 二 「八五郎坊主」 笑福亭 仁 嬌 「二十四孝」 笑福亭 仁 鶴 「代脈」 中入 内海 英 華 「女道楽」 主任 桂 小 米 「代書屋」 |
一年で最も過ごしやすい十月。十日の水曜日『恋雅亭』の十月公演が開催された。 その大入公演のトップを飾るのは桂雀喜師。師は平成10年9月の第241回公演(演題:田楽喰い)以来2度目の出演であり、米朝→枝雀→雀三郎→雀喜と続く米朝一門の直系で勉強熱心。 「えー、トップバッターは、私、桂雀喜(じゃっき)でよろしくお願いいたしておきます。えー新人でございまして表の提灯も人の分の上に紙を貼ってあります(事実、前回の初出演の時に作成したのがだ無かった為に急場しのぎである)」とあいさつ。 トップらしくさっそく本題へ。演題は前座噺の定番の『牛ほめ』。 二つ目は林家一門から一門の総帥染丸師匠の前名を襲名した林家染二師。 三つ目、中トリは、仁鶴一門が登場。まずは、笑福亭仁嬌師。 そして、中トリは、上方落語界の重鎮笑福亭仁鶴師匠。 当席で、過去演じられた演題も過去5回さかのぼってみると、 ・『牛の丸薬』 265回公演 ・『不動坊』 256回公演 ・『次の御用日』237回公演 ・『貧乏花見』 212回公演 ・『鳥屋坊主』 180回公演 と大ネタ揃い。 そして、「昔から者(しゃ)のつく商売は・・・」のマクラから、これも十八番の『代脈』が、「代脈のふとみなおした、晩に死に」とのお馴染みのフレーズからスタートする。 高座を降りてきた仁鶴師匠に御礼を言う。 「師匠、ありがとうございました。」「おつかれ、さぁ、今から帰って皿洗ろてな、布団ひいてなぁ。ほな帰るわ」(いかにも上機嫌の意味不明の会話)「又、来年よろしくお願いいたします」「へえ、へえ、・・・・ごくろはん!」JR元町駅西口のタクシー乗り場からタクシーで一人帰路(豊中)に付かれた仁鶴師匠であった。 中入後は、当席の高座へは初出演の「女道楽」の内海英華嬢。 「えー、この会へは初めての高座で・・・過去は吾妻ひな子、木村栄子、タイヘイ夢路の各お師匠はんが『女道楽』を演じておられますが、こんな若いのは初めてで・・・」会場は拍手と爆笑。「さすがに非常に感の良いお客様が多ございます・・・。」 そして、寄席の唄、俗曲を披露して「えー、時間、失礼いたしました。」 十月公演のトリは、米朝一門から桂小米師匠。 そして、師匠直伝をベースに登場人物を鳥取出身者に設定した大爆笑落語『代書屋』が始まる。この面白さは筆舌に耐え難い。会場は次々に繰り出されるギャクの連発に大笑いが連発。満員の会場は大満足の25分の高座であった。
小 生「おはようございます。今日はありがとうございます」 小米師「おはよう、ここのトリかなんわぁ」 小 生「何を言うてはりまんねん。師匠ら『三日月会』のメンバーがとってもらわんと誰 がとりまんねん」 小米師「そうやなぁ。よっしゃ、よっしゃ」 小 生「ところで、今日は何を・・・」 小米師「『肝つぶし』演(や)ろかなぁ。暗い噺やしなぁ。久々に『代書屋』に決めよ」 こうして、小米十八番の『代書屋』が演じられることになった。 * 『三日月会』とは、昭和48年に神戸柳原の『柳笑亭』で始まった 若手の勉強会のことである。メンバーは林家染丸、桂文珍、笑福亭松喬、松枝、呂鶴、橘家円三(休業)、そして、桂小米の各師匠連である。現在当席のトリの重責を果たしている師匠連である。 |